※　本リリースは、2021年10月19日（英国ロンドン）に発表されました。 

Vicor Corporation （本社：米国マサチューセッツ州、CEO：Patrizio Vinciarelli、NASDAQ上場：VICR、以下：Vicor) は、ミラノ工科大学の学生フォーミュラのチームと協力をし、レーシングカーの軽量化を実現したと発表しました。

ミラノ工科大学の学生フォーミュラチーム、Dynamis PRC（以下：Dynamis）には100名以上の学生が所属しており、毎年、学生フォーミュラの国際大会に向けてレーシングカーの試作車を設計、製造しています。Dynamis PRCは内燃エンジンのカテゴリで15年間出場を続けており、学生フォーミュラ大会の内燃エンジン部門で世界ランキング4位、イタリアでは首位を獲得しました。

チームは現在、車の動力を内燃エンジンから電気へと移行しているところで、これにより車のデザインや性能を大きく改良することが可能になりました。中でも特に重要な軽量化については、従来のエンジンの20kg以上の重量を、各ホイールに1基ずつ搭載した3.5kg の電気モーター4基に置き換えました。最適なトラクションとブレーキの性能を得るため、それぞれのモーター制御は独立しています。

蓄電池は重要な新製品のひとつで、ソニーのVTC6セル660個で構成され、550V程度までの電圧を出力できます。

車内で12Vの低電圧を供給するため、電源系統には LiFePO4 バッテリーも搭載しました。しかし、これは充放電管理が極めて難しいことがわかりました。Dynamisはこの課題を解決するため、低電圧バッテリーで給電する既存の12V回路を通して、車載のPCB、センサー、テレメトリ―機器などに給電することにしました。

次に、2つのDC-DCコンバータモジュールを用いて高電圧蓄電池の電圧を降圧し、12Vを取り出します。低電圧負荷の中でも特に電力が大きい冷却ファンと冷却水ポンプに600W（12Vで50A）を供給します。

障害により冷却システムが停止すると、モーターとインバーターの温度上昇が制御できなくなるため、信頼性の高いDC-DCコンバータシステムが必要です。サイズと重量も、重要な課題でした。

すべての要件を満たす

Dynamisは最適なDC-DC製品を見つけるため、時間をかけて調査し、VicorのDCM4623の採用を決めました。VicorのDC-DCコンバータモジュールは並列に接続でき、入力電圧が、レース中のバッテリーの放電による電圧変動範囲550V～330Vに対応できるためです。

DCM™ モジュールには分かりやすい説明書があり使い方も簡単ですが、Vicorのサポートも役立ったと、電子機器とパワートレイン部品を担当するマルタ・ブラゴット氏は次のように述べました。「製品仕様も重要ですが、Vicorはモジュールの提供だけでなく、設計のサポートもしてくれました。優れたホワイトペーパーや技術資料だけでなく、技術者の方が我々のために時間を割いてくれたのです。」

将来的には、冷却システムに48V、その他の搭載機器に12Vを給電するデュアル低電圧システムの導入を予定しています。高電圧の蓄電池からVicorのモジュールで48Vに降圧し、さらにモジュールを追加して12Vに降圧します。

Vicor Corporationについて

Vicorは、高性能モジュール型電源コンポーネントの設計、製造、販売を行う米国（本社：マサチューセッツ州アンドーバー）の電源専業メーカーです。HPC（ハイパフォーマンスコンピューティング）、オートモーティブ、通信ネットワーク、産業機器、ロボティクス、鉄道、航空防衛アプリケーションなどへ向けて、広く事業を展開しています。

日本法人のVicor株式会社（Vicor KK）は2017年に設立され、電源コンポーネントの販売・技術サポートを行っています。詳しくは、www.vicorpower.com/ja-jp をご参照ください。

Vicor、DCMは、Vicor Corporationの登録商標です。

Dynamis PRCについて

Dynamis PRC はミラノ工科大学の学生フォーミュラのチームで、最初の電動レーシングカーの試作を2020年に始めました。この試作車はオランダ、ハンガリー、イタリア、ドイツの4つの欧州大会に出場し、オランダとイタリアでは首位を、ドイツの大会では3位を獲得しました。 www.dynamisprc.com